STUDIO GJ★土器制作★

火焔土器・縄文土器をつくるのにゃ

火焔土器のつくり方

火焔土器 模造

はじめに

ここでは、管理人「J」が土器造りの諸先輩方から学びつつ、自ら考察・試行錯誤しながら火焔土器を制作した際の記録としての「つくり方」を記載します。

縄文時代に作られた火焔土器の正確な制作方法』ではありません。

長岡土器造り同好会について

管理人「J」が所属している長岡土器造り同好会は、その設立当初から新潟県立歴史博物館や長岡市馬高縄文館との関係も深く、研究に協力をしながら、会員がそれぞれ自由な発想で創作活動をしています。そこでは、縄文土器が当時どのように作られたのかなど考古学からの研究を学ぶことはもちろんですが、実際に美しい土器を作ろうと試行錯誤することから見えてくることなども考察しながら、基本的には自由な発想で土器制作を楽しんでいます。
また、過去には縄文館で行われるワークショップ等で時間内に完成させるために工夫されたつくり方なども考案してきました。
管理人「J」は日の浅い会員ですがそれらも教わっています。
ここではこれらのすべてを記すことはできませんが、土器造りの先輩方に教わった全てがベースとなっていることをご承知おきください。

1.道具と材料と下準備

土器造りの道具

 ここでの土器造りは現代の道具を用いて制作しています。

縄文時代に「手廻しロクロ」なんかない…』と突っ込まれることがありますが、管理人「J」は「火焔土器の形に魅せられ、それを作ってみたい」と土器造りを始めたので、縄文時代と全く同じ制作方法にはこだわっていません。もちろん制作する過程で「縄文時代はどうだったのか」「同じように作るには何を使えばよいか」などの考察や実践もしますが、こだわりはじめると冷暖房の効いた部屋での制作さえ不可能になってしまい、自分の土器造りの方向性を見失いかねません。(そちらは週末縄文人様にリスペクトをこめてお任せしたいと思います!)
 そんなわけで、「現代の火焔土器好きが制作に使う道具」をざっくりご紹介します。

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使用する粘土について

粘土についてはこちらの過去記事をどうぞ↓

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制作の下準備

道具と粘土がそろったら早速土器を作りはじめたいところですが、その前に「火焔土器」のサイズや形をしっかり調べて把握します。

必要であれば資料写真や博物館の資料を基に、簡単なデッサンをしてみるのもおすすめです。紐での模様を施す際にデッサンはとても役立ちます。

土器のサイズ割り出しについての記事もご参照ください。

2.火焔土器の成形

いよいよ土器の成形です。

成形は以下の順序で進めていくのがスムーズです。

 

①鉢を作る

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※以下随時更新※

②鉢に模様を施す 

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③口縁部を作る(鋸歯状突起)

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④鶏頭冠をつくる

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⑤口縁部と全体の仕上げ

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※乾燥と制作途中の水分調整・保管について

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3.焼成

野焼き

 縄文時代の遺跡から「窯」が出土していないこと、出土の土器片からわかる焼成温度などから、縄文土器は野焼きで焼かれたのではないかと推察されています。
 全国の土器造り体験イベントや学校で、屋外で縄文土器を焼く「野焼き」が試みられています。

 長岡市の馬高縄文館でも春と秋、年に2回ほど野焼きが行われ、縄文館の土器づくり体験イベントで作られた土器を焼成しています。長岡土器造り同好会では長年そのお手伝いをしています。

 令和2年の秋の野焼きの様子です。

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↑動画は令和3年春の野焼きです

窯焼き

野焼き以外では長岡土器造り同好会で個人所有の窯を借りての焼成も行います。
窯は電気、灯油、薪など熱源は様々。できるだけ野焼きと同じ温度変化を窯で再現し焼成します。電気は温度管理が自動で楽ではありますが焼け具合が均一で単調になりがちで、薪は野焼きと同じ風合いで仕上げることができますが温度管理が非常に難しい…など一長一短です。

野焼きよりも破損率が低いのが窯焼き最大の利点です。

小品を炭で焼いてみた

実験的に、小さい土偶を炭で焼けるか試してみました。

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火焔土器の大きさでは難しいとは思いますが、キャンプやバーベキューで炭や薪の熾火を使って(ある程度の大きさまでなら)土器を焼くことが出来そうです。

4.修復

 縄文時代、土器をどのように修復・修繕していたのかの全容はわかりませんが、土器片に天然アスファルトや漆、膠などが付着したものが一部出土していることから、一部の土器や土偶はこれらを使い修復・修繕がされていたと考えられています。

 一方、現代において出土した遺物としての土器片は、その状態が本来の物であり、いつでもその状態に戻せる方法で復元されるそうです。一般の我々が博物館で見学できる整った形の土器はプロの手によってこのように復元されたものですね。

 ここでは、一部そのプロの方法から学びつつ、「カタチとして完品の火焔土器の模造品」を作るために自分なりに工夫も加えた修復・修繕の方法を記します。

 土器は、焼成時、また完成してからも破損することはままあります。修復・修繕までできてはじめて「制作ができる」ことと同義かもしれません。

 少し前ですが、原寸火焔土器を窯焼成時に破損した時の修復した時の記事をリンクいたします。

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さいごに

 管理人「J」は火焔土器を一つ作り終えると、すぐに次の一つを作りたくなります。
反省点ばかりで思ったように作ることができませんが、地元のひいき目もあり「火焔土器」のバランスのよさ、美しさは何とも言えぬ魅力があると思っていて、何とか近づけたいと作っています。
 野焼きで焼き上げるとそのたびに色合いや焼け具合も全然違い、同じ物は一つもありません。同じ「火焔土器」を作ろうとしても、作る人の個性がにじみ出るのも面白いところです。
 原寸の火焔土器は高さ約30センチ。加えて野焼きの機会はそうそうありませんので作ろうと思うとそれなりにハードルは高いですが、火焔土器を作ってみたいと思う方にはチャンスがあればぜひチャレンジしてみてほしいです。

 管理人「J」は土器造りを始めてまだ日は浅いですが、現時点での火焔土器造りにためになる情報を掲載していけたらなと思っています。

 

このページが皆様の土器造りの参考になれば幸いです。